ドラムのバケラッタフレーズ
ドラムにはバケラッタという名のフレーズがあります。一見、おちゃらけた名前ですが、使えるようになるとこれがまた役に立ちます。
応用によっては習得にかなり時間がかかりますが、難しいことをしてみたい、必殺技や面白いフレーズを探しているドラマーは、ぜひ挑戦してみてください。
※打ち込み音源は指定がない限り、テンポ100で統一しています
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バケラッタとは?
いわゆる『タカタッタ』、譜面カッコ内の音符の形のことです。フィルインでもよく耳にする32分音符を使ったメジャーなフレーズです。
バケラッタの名前の由来
昔テレビで放送されていたアニメ『オバケのQ太郎』に登場するキャラクターの名前です。タカタッタという音がバケラッタと聞こえたことからそう名付けられたらしいです。
真意は定かではないですが、事実としてバケラッタがドラムのフレーズであるタカタッタを指す言葉として浸透しているのは確かです。音楽専門学校で講師の方もバケラッタと言っていました。
個人的にはタカタッタと説明するよりはバケラッタという方が個性的でわかりやすいです。タカタッタというと単なる擬音語ですし、何を指すのかいまいちよくわかりません。
バケラッタは音符の形はもとより、一連の並びとしてもその定義に含まれているので、「ああ、あのフレーズのことか」とすぐさま直結するので使いやすい名称なわけです。私もそれにならってこういった形をバケラッタフレーズと呼ぶようにしています。
バケラッタの叩き方
手順は基本的にオルタネートです。
タカタッタがどんどんずれていくので拍をしっかり意識しないと、どこを叩いているかわからなくなるので注意しましょう。
叩くタイミングがつかみづらい場合は16分音符の3つ取りアクセントから始めましょう。
16分音符3つで1つのかたまりと考えます。アクセントがどんどんずれていくポリリズム的な要素がある面白いフレーズです。
この譜面を「ワン・ツー・スリー・フォー」とカウントを言いながら叩けるようになりましょう。ちなみにこのカウントを言いながら16分音符の3つ取りアクセントを叩くのは音楽専門学校でもやりました。テストに出ました(笑)
カウントを言いながらフレーズを叩くのはドラムでよくやる練習法です。特に複雑なパターンほど拍を意識するのは基本です。3つ取りアクセントは実際にいろいろな曲でもよく活用されるフレーズなので、できるようになっておきましょう。
この16分音符3つ取りのアクセント部分を32分音符に置き換えればバケラッタの完成です。
16分音符で慣らした後で32分音符を練習
いきなり32分音符が難しいなら半分にしても大丈夫です。
最初の2小節を16分音符と8分音符でバケラッタ、残りの2小節を32分音符でバケラッタ。つまり、交互に叩くわけです。テンポ100くらいから始めると良いでしょう。しっかりカウントを意識してください。
もちろん、最初の2小節だけ繰り返しても大丈夫です。
拍と小節数を認識しながら叩けるようになろう
カウントあり
カウントなし
上の譜面はバケラッタを8小節分ひたすら繰り返しています。9小節目のスネア1発が正確に合うように練習します。
どこを叩いているか見失いやすい
バケラッタは連続して叩いているうちに拍も小節数もわからなくなってしまう恐れがあります。拍が取れるようになっても何小節目なのかがわからなくなっては意味がないので、小節数もしっかり取れるようになってください。
打ち込み音源はカウントありとなしの2つを用意しました。
カウントありは拍のカウントに加え、バスドラムを各小節の1拍目に入れています。どこを叩いているかわかりやすくするためそうしています。意図しない所にバスドラムが鳴った場合は拍を間違えていることになるので気を付けてください。しっかり「ここだ」とわかるようになるまで練習を重ねましょう。
カウントなしは譜面そのままです。カウントありで慣れて来たらこちらで練習してください。拍も小節もちゃんと取れているなら、9小節目にスネア1発がしっかり合うはずです。合わない場合はわからなくなっているので注意しましょう。
バケラッタの応用
バケラッタがどんなものなのか理解できたと思います。ではここからそのバケラッタをどう活用していけばいいか、その応用方法を紹介していきたいと思います。
始まる拍を変える
パターン1
パターン2
パターン3
バケラッタの最初の叩く位置を変える
タム
2拍目のタム(五線譜第三線上)は2つ目のロータムを想定しています。音程差をつけると流れが良くなるので音源では楽譜のまま打ち込んでいます。ただ、基本セットはロータム1つなので、その場合はロータムでもフロアタムでもどちらでもいいので代用してください。
シンバルアクセント
バケラッタごとに叩く場所を変える
スネア・ハイタムを交互
順番に回す
スネア→ハイタム→ロータム→フロアタム→バスドラムの順番です。基本的な4点セットの太鼓部分を順番に叩くわけです。
バスドラムは音程の差をつけるために叩いていますが、そもそもこの4拍目は次のフレーズのことも考えて、やりやすいように自由に変えていくことが前提です。フロアタムにして連続させるのもいいですし、タムタムの数を増やして順番に叩いていくとより流れが良くなります。
バケラッタの応用の中でも比較的使いやすい方法なので、いろいろとフレーズを考えてストックしておきましょう。
32分音符をバスドラムで [BPM130]
この応用は速いテンポでも入れやすいツーバスがおすすめです。
スネア・バスドラム
これは私もよく使うフレーズの1つで、特に1、3拍目の形をよく使います。ツーバスの特徴を最大限に活かした使い方と言えるでしょう。
このフレーズは手足のコンビネーションを発展させた形でもあります。ワンバスによるコンビネーションを欲張って両足で入れるとこのようになります。上手くできない人はワンバスでコンビネーションを練習してから取り組むといいでしょう。
タム回し
右手:スネアとフロアを交互
左手:ハイタム
右手→左手→右足→左足を繰り返すフレーズです。右手はスネアとフロアを交互に叩くことで、より複雑なフレーズになっています。左手はハイタムだけにしていますが、可能ならロータムと交互にするとより複雑なフレーズにできます。
このフレーズで重要なのは拍にあたる音符です。1拍目は右手(スネア)になりますが、2拍目は左手(ハイタム)になり、3拍目は足(バスドラム)になります。手手足足を16分音符上で繰り返すだけなら必ず拍のアタマが手になるので叩きやすいですが、このフレーズは1拍に入る音符の数がバラけているので自然と叩く部位が拍とずれてしまうことになります。
何が言いたいかというと、特に拍を見失いやすいフレーズということです。バケラッタ自体がそうなのはすでに説明しましたが、それに加えて手手足足を繰り返すという区切りが明確にできているので、より一層拍車がかかってしまいます。手手足足を繰り返してできるフレーズではありますが、1拍の中に入る音符の数を間違えないでくださいね。
『拍のアタマを体のどの部位で叩くことになるのか』をしっかり認識して、正確に叩けるようになってください。
ツーバスバケラッタ
ツーバスでも最高難度のフレーズと言ってもいいでしょう。こうなるともうひたすら練習してくださいとしか言えませんね。
実際に使われているパターン
ジャーニー:セパレイト・ウェイズ 2:44~2:46 [BPM131]
スネア・ハイタム・フロア・バスドラの繰り返し。
ハロウィン:ラウダーテ・ドミヌム 0:00~0:04 [BPM125]
リピートした2回目の3拍目がカッコ内のパターンに変わります。
ドリームシアター:ザ・ダンス・オブ・エタニティ 2:22~2:24 [BPM122]
ハイロード:ブレス・オブ・エタニティ 2:30~2:32 [BPM144]
アングラ:ノヴァ・エラ 3:48~3:51 [BPM170]
詳しい説明は『ドラムスコア ノヴァ・エラ アングラ』
メシュガー:ブリード 0:00~0:18 [BPM115]
ハンガー:ザ・ハンガー・オブ・ハンニヴァル [BPM115]
詳しい説明は『バケラッタと6連符を使ったアキレス・プリースターのツーバスパターン』
ハンマーフォール:ブリング・イット [BPM236]
ハンマーフォール:ザ・スター・オブ・ホーム [BPM140]
6連符のタム回しの叩く場所は正直合っているかわかりません。ただ、1・2拍で音程が下がった後でまた上がっているように聞こえます。スネアの位置に気を付けて、1拍目で下げて、2拍目で上がるようにタム回しを構成すればいいと思います。それを守りつつ自分のやりやすい手順を当てはめればいいでしょう。
後半のバケラッタはスネアから順に4発ずつ回していきます。スネア以降は音程の違う4つのタムで回していくと音程差を表現できて流れがきれいです。標準セットで演奏するなら、ハイタム・ロータム・フロアタム・バスの4つを用いたり、どこかのタムを2回分叩いたりして工夫すると良いでしょう。
いつでも出せるようになろう
いろいろな所で使われているバケラッタ。応用方法のどれか1つでも突き詰めれば良い武器になってくれます。手軽にできるフレーズもあるので覚えておいて損はありません。
普段から練習を欠かさず、いつでも好きな時に好きな速さで出せるようになりましょう。そうすればドラマーとしてのレベルも飛躍的に上がることでしょう。