1拍半からポリリズムに展開するツーバスパターン
Stratovarius(ストラトヴァリウス)というバンドに『ENIGMA:INTERMISSION II (エニグマ:インターミッション2)』というアルバムがあります。その中の『Giants(ジャイアンツ)』という曲で使われているツーバスパターンです。ちなみに同バンドの15枚目のアルバム「エターナル」の日本盤ボーナストラックの曲でもあります。
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譜面
- テンポ152
- フェードアウト中に出てくる4小節分のポリリズム
フェードアウト中に出てくる4小節分のポリリズム
部分的に紹介すると説明しづらかったので、ポリリズムに至るまでの一連の流れを全て譜面に書き出しました。該当するポリリズムは最後の4小節分(番号⑤)です。それぞれの区切りとして①~⑤の番号を振ってあります。それでは各番号の説明をしていきます。
譜面①について
①は最初の2小節分を4回繰り返す計8小節で成り立っています。見せ場に行くまでの導入ですね。バスドラムが16分音符4つと8分音符1つ、つまり1拍半のパターンで構成されています。そもそも、ここに限らず、全てにおいて1拍半パターンで展開されています。それを頭に入れておきましょう。
譜面②について
リピートをするのでここは計4小節分の構成になります。よく見るとわかると思いますが、①の2小節分にシンバルアクセントと、2小節目の休符だった部分に追加されています。そこまでのバスドラムは同じなので、①がクリアできれば難しい追加ではないと思います。見せ場に行くまでのちょっとした盛り上げです。
譜面③について
計4小節分の構成。本腰を入れて展開する前のちょっとした仕掛け的な部分です。
ここで注意してほしいのは、1拍半を意図的にずらして演奏する点です。2小節目の3・4拍目がそれにあたります。1拍半で続けたなら、3拍目に16分音符4発が来ることになりますが、ここではあえてそこを1拍分の休符を入れた後、4拍目にずらしてから再び1拍半パターンを始めています。このずらしが肝になります。そのまま通してやらないようにしましょう。
曲を聞くとわかるのですが、この付近は今何小節目の何拍目なのかわからなくなりやすいです。1拍半をずらしているのもその要因。楽譜で見ると区切りが分かりやすいですが、しっかりと拍を認識していないとわからなくなるので注意してください。どこを叩いているかしっかり把握できるようになっておきましょう。
後半3・4小節目は1拍半パターンが続きます。というより、ずらした部分から1拍半を続けることになります。ずれたことも相まって、この2小節分は拍を見失いやすいので気を付けてください。どこが何拍目になるのかしっかり認識できるようにしておきましょう。
譜面④について
計4小節分の構成。1拍半を続けるかと思いきや途中4拍目に休符。1・2小節目はこれまでに無い展開です。譜面をしっかり確認してパターンを間違えないようにしましょう。
3・4小節目については②の2小節分と同じです。見せ場の前の最後の展開です。
譜面⑤について
ここが本題のフェードアウト中に出てくる4小節分の1拍半ポリリズムです。計4小節分の構成で、ここに来るまでに何度か出てきた4分休符もこのポリリズムに掛かっているのではないでしょうか。ここに来るまでタイミングをずらして軽く引っ掛けつつ、ここでドカンとかますわけです。
初見だとここに来るまでに結構混乱していると思います。わざわざタイミングをずらしているわけですし、そこへこのポリリズムで完全に混乱させることになるわけです。
タイ記号ばかりでタイミングがわかりにくい場合はバスドラムの音符を参考にすると良いでしょう。バスドラムのどのタイミングでシンバルやスネアがくるのかを見れば大体わかります。簡単に言うと、バスドラムの16分音符4つと8分音符1つ毎に、シンバルとシンバル+スネアを交互に鳴らすだけです。ポリリズムでは拍を見失わないように注意しましょう。1拍半ごとに鳴らされるシンバルが『1拍』になってしまうとアウトです。
テンポも152となかなか速いこともあってかなり難しいです。カウントを口に出しながら叩けるくらいになりましょう。そうすれば惑わされることはなくなります。
フェードアウトに仕掛けてくるなんて
曲の最後、フェードアウト中にもかかわらず、ポリリズムをぶっこんできます。そして私は見事に術中にはまり拍を見失いました。フェードアウト中ということもあって完全に油断していました。
ポリリズム前にも外した感じのリズムが入っているので余計にだまされやすいです。元々、曲の中であえて外した感じのリズムが入っていたので、「こういうのは最近あまり聞かないな」と思っていたんですが、ほんと「ぶっこんできたなあ」と感心しました。
バスドラムに関しては曲中でも度々出てくるオーソドックスな流れを含んだパターンですが、叩く手のタイミングを変えただけでこうもガラリと様変わりするとは、これぞポリリズムといった所でしょうか。
基本中の基本ですが、ポリリズムでは演奏している本人はしっかり拍が取れていないとだめです。演奏している本人は本来の流れの中にいて、結果的に周りがだまされるというのがポリリズムの効果です。ここで仕掛けた本人までだまされてしまうと本末転倒です。それは本来あってはならないことなので扱う時は十分注意しましょう。
先ほども書きましたが、ポリリズムをクリアするコツは「カウントを言いながら叩けるようになること」です。そうなるには1拍1拍やっていることを認識できるようにならなくてはなりません。これができるようになれば惑わされることはまずなくなります。
失敗すると総崩れにある諸刃の剣ですが、見事にだますことができればしてやったり。普段シンプルなリズムばかりだと変化に乏しくなりかねません。時におちゃめな一面を見せるのもギャップがあって良いと思いますよ。
他の1拍半フレーズ